座談会特別編:第1回と次回に向けて(参考ニュース)

先週開催させていただいた土壌汚染に関する座談会では、3時間にわたって大変楽しく、課題や現状認識について活発な議論を行うことができました。土壌汚染に関わる様々な分野(環境コンサル、建設、法務、不動産、鑑定、産業界、金融、会計、メディア、大学等)の第一人者の方々に事前ご意見も頂き、重ねて御礼申し上げます。

業務や専門の立場が異なっても、同じように課題を感じている点として以下のような論点がでました。

・土壌汚染の問題は、不動産の問題と不可分であり、取引、価値、評価、会計等との相互に影響がある。

・環境リスク管理の費用対効果という視点からみると、過度な対策や反応が示されていることが多い。

・自然由来の土壌汚染が土壌汚染対策法として取り扱われるようになり、多くの課題が顕在化している。

・塩漬け地が増えていることは日本経済全体にも望ましくない。

参加者の方、それぞれが感想をお持ちだと思いますが、次回は課題だけでなく、どのような解決策があるかなどの議論も進めていきます。引き続き楽しみです。

ちょうど同じ時期に、環境金融のニュースのなかで、世界のグリーン債券(Green Bond)市場が成長しており、来年には10兆円規模になりそうだというニュースがありました。すでに1.4兆円規模になっていますが、急成長しているということです。また先週末、欧州の不動産会社に、7.5億ユーロ(約1000億円)のグリーン債権が発行されたというニュースも出ています。イギリスのグリーンビルディング認証であるBREEMの認証を、設計やオペレーション段階に活用するということで、ユーロ市場での不動産会社としては、初めてグリーン債券を発行したとということですが、約2時間で4倍の申し込みがあったということで強い潜在需要があると伝えられています。

アメリカでは、マサチューセッツ州が、州として初めてグリーン債権を昨年1月に発行し、省エネだけでなく、飲用水のプロジェクトや、環境浄化、生態系保全などの目的に1億ドル(約100億円)を調達していますが、予定よりも3割増の購入があったということです。建設国債の地方版の環境版といったようなものでしょうか。

マサチューセッツ州については、環境浄化に保険を有効活用していた州であり、先の座談会でも少し話題になりましたが、金融や不動産をうまく組み合わせて土壌浄化や土地再生プロジェクトを推進しています。

日本でも、地方の公共建築物の老朽化対策に地方債の発行が進められる方向といわれていますが、こうした中に環境保全の要素を入れて、保全または再開発につなげる”グリーン債券”として発行することもよいのではないかと思いました。日本の小規模なSRI(社会的責任投資)市場の拡大にもつながりそうです。

(まだJust Idea段階ですので、次回の座談会で皆様のご意見を伺いたいと思います。)