欧州:2030年にごみ最終処分場ゼロの世界へ

欧州委員会が7月初めに公表したリサイクル社会に向けた提案で、2030年までに一般廃棄物を70%を削減し、実質的に最終処分場をゼロにする目標を打ち出しました。

同時に2030年までに資源効率生産性を30%高めることをめざし、市場原理の活用、インセンティブ、情報交換、自主的取り組みの推進などを進め、使用済みの資源をうまくリサイクルしていく社会を構築することを目指しています。

同時に発表したEUのグリーン成長戦略の一環で、上記のリサイクル社会の構築で今後18万人の新規雇用を生み出すとしています。グリーン成長の中には、EUが採用している建物等のエネルギー効率に関する指令により建設業界に40万人の新たな雇用が生まれる可能性も指摘されています。

欧州では、2020年に向けて、製造業のGDP比を20%程度に回復するという”製造業の再生”方針を打ち出しており、現在の政策だけでは十分に資源効率を高めることはできないとして、環境イノベーションを起こすことを目指すとしています。

数年前、米国でもグリーン・ニューディールが行われました。しかし、予想以上にシェールガス開発が全米に広がり、地域経済は活性化する一方で、エネルギー価格が下がったことにより、政府が期待していたクリーンエネルギーの採算がとりにくくなり関連企業や産業の成長が鈍化した例もあります。ただ、今年初めにオバマ政権の経済アドバイザーがまとめた5年間のレビューでは、グリーンニューディール(法律としてはアメリカ復興再投資法、いわゆるRecovery Plan)によりGDPを2―3%押し上げ、約600万人の雇用維持・創出に貢献し、再生可能エネルギーも風力や太陽光等で大きく増加したとその効果があったことを示しています。

今回の欧州の戦略は、エネルギーやCO2削減だけでなく、廃棄物管理や建物関連などから新たな雇用を生み出そうという方針のようです。各国の人口増と経済成長により、地球全体で資源が枯渇する中、資源の有効活用が必要になっていることは間違いないでことから、EU全体でリサイクル社会を構築し、世界全体に広げていこうという取組であるようです。

EUは、新たな環境政策や高い長期目標を掲げて、世界の環境政策をリードしている一方で、雇用・経済問題などの課題をどのように組み合わせて解決していくか模索しており、そのなかで環境関連のイノベーションが不可欠であるとしています。本テーマについていくつかまだ紹介したい内容があるので、次回続きを紹介します。