技術開発が進められる土壌汚染の調査技術

欧州域内にも土壌汚染がある土地は300万箇所位あると言われていますが、地中にある汚染物質をくまなく把握することは難しく、コストもかかることから、一定の間隔でサンプルをとりながら汚染物質の含有状況を把握する調査手法が一般に普及しています。

しかし、地中の汚染物質の状況をより正確に、短時間・低コストで把握することができれば、汚染物質に対する浄化技術を適切に適用することができ、より効率的・効果的な浄化技術の投入が可能になり、その結果として全体の対策費も削減することができるようになるでしょう。

欧州では、こうした汚染物質を超音波センサーを搭載したロボットにより、リアルタイムで遠隔から把握し、汚染状態を3次元に視覚化する技術開発が進められています。土壌の湿度やpH、重金属等の汚染物質の状況を、人手をかけずに把握することで従来の方法よりも7割以上の効率化が可能になるとのことで、欧州の研究開発基金から支援を受けたプロジェクトが開始されました。

このほか、有機化合物や重金属の汚染状況をリアルタイムで検知する技術開発など様々な技術開発が進められています。

アメリカでも、調査技術の開発は進められており、調査結果と浄化技術の現場での運用を調整しながら進める際に活用できるような、調査精度の高く、リアルタイムで汚染状況を把握できる技術は、研究開発の注力分野の一つであるといわれています。

日本国内では、汚染土壌を場外に搬出して処理する手法が多用されてきたため、原位置浄化技術が諸外国ほど活用されていませんが、経済性や総合的な環境への負荷など踏まえて、今後、原位置で効果的に浄化する技術が増えてくると考えられます。原位置浄化が増えると、汚染状況の正確な把握や迅速な確認へのニーズも高まり、全体として汚染対策費を抑えながら、確実な浄化対策が進むことになるでしょう。日本にはこうした技術開発が可能な企業は多いと思いますが、それらの技術を活用できる市場が広がることで、より良い技術が生まれ、日本だけでなく、世界全体の環境保全にも役立つことになると思われます。日本でも一つずつ良い循環が進むとよいですね。