SASB_エネルギー資源部門のドラフト開示

先週、アメリカのSASB (サステナビリティ会計基準機構)から、エネルギー資源業界のガイドラインが公表されました。昨年からヘルスケア、技術・通信、金融と、相次いで各業界での持続可能性に関する重要事項を公表していますが、今回は石油や天然ガスの以下8分野について、非再生資源(Non-Renewable Resources)としてガイドライン素案がでています。 続きを読む

2013年12月:統合報告書の枠組み(Framework)公表

昨年12月、予定されていた統合報告書の枠組みが正式に公表されました。Frameworkと呼ばれる報告書のガイドラインに加え、ドラフトから結論に至った経緯を説明する資料とサマリー(Q&A)の3つの出版物が同時に公表されています。

統合報告書は、その定義や目的についても様々な意見があり、当初は企業の財務資本の分配を評価するうえで役立つものという記載がありましたが、最終版では、「その組織がどのようにして価値を創造しているか」を説明するものであり、「財務及びその他の情報が含まれる」としています。

資本(Capital)を以下のように分類して、それぞれの資本を活用して組織が持続的な経営をしているのかを示すものという概念が示されています。(正式な和訳ではないので、原文をご参照ください。) 続きを読む

1月のFINEV座談会

1月のFINEV座談会テーマは以下を予定しています。

【テーマ】

シンガポールの環境政策とグリーン戦略について

“クオリティ国家シンガポールに学ぶところは何か”

・自由化後の電力市場とプレイヤー

・スマートシティ・工業団地建設を進めるグローバル企業

・シンガポール証券取引所のサステナブル戦略

・グリーンビルディング戦略と人材育成戦略

 

ご参加希望の方はこちらからご連絡ください。詳細をご案内申し上げます。

金融業界のサステナビリティ_SASBがドラフト公開

先週、金融セクター7業種のサステナビリティに関する重要項目案が、米国のSASBから公表され、12月末までパブリックコメント期間になっています。

環境面については、おもに以下の3つのポイントが含まれています。

  • 融資や投資における信用リスク評価に、環境・社会・ガバナンスに関する要素を統合すること(投融資)
  • 担保不動産等の環境リスク管理(不動産担保ファイナンス)
  • 環境リスクの影響(保険)

 春頃のブログで掲載しましたが、米国では中小金融機関の担保不動産審査時における環境リスクの評価も明文化され、環境リスク評価が広がりつつあります。また今月6日に公表されたASTMの環境サイトアセスメント(E1527-13)などにより、政府データの確認や揮発性物質(Vapor Intrusion)などのリスク管理も拡充され、金融機関の環境リスク評価の仕組みも進化していくでしょう。

市場の成長を維持しながら、仕組みを成熟化させていくには、ルールをわかりやすくし、新規参入者に門戸を開くことも重要になると思われます。

FINEV座談会では異業種の皆様に参加いただき、関連分野の成長と進化につながる情報交換を進めていきたいと思っています。

 

 

環境・サステナビリティに関する実務教育

先週の座談会では、4時間余りにわたって国内外にわたる環境や持続可能性に関する楽しい議論をさせて頂きました。第一線で活躍されている、違った専門分野の方と同じテーマについて議論するのはとても勉強になります。

環境分野のソリューションは、各地域の自然環境や国の歴史文化、ビジネス慣行など、様々な要素を踏まえて成熟していっています。そのため、各国や各地域での違いもあります。そうした違いを知ることで、新たなビジネスのヒントや、現状のアップデートにつながるものもでてくるかもしれません。

今は環境関連の業務の大部分は、実務を通じて習得するOJTがほとんどですが、環境ビジネスに直接役立つ知識や知見を短期間に修得できる大学や実務教育の場が日本にもっとできてもよいのではないかというご意見もありました。

ちょうど、一昨日、米投資銀行モルガンスタンレーがInstitute for Sustainable Investment (持続可能な投資に関する研究機構)を設立したという発表がありました。 続きを読む

自然資本の政策への組み入れを承認したイギリス議会

先週、イギリス議会は、自然資本(Natural Capital)を今後、国の政策や会計等に組み入れる方向を固めたようです。議会の議論については公開されています。

自然資本は、水や土壌、エネルギーなどの自然資源の価値を評価し、それらを保全しながら、経済社会の中で持続的に活用していくことを目指しています。そのために、まず自然資本の実態をきちんと把握し、評価する枠組みを確立することが提唱されています。こうした取り組みを支持する世界の約50の金融機関が自然資本宣言(Natural Capital Declaration)を採択しており、日本では三井住友信託銀行が参加しています。

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SASB 技術・通信セクター素案公表

アメリカのSASB (Sustainable Accounting Standard Board)から技術・通信セクターのサステナビリティに関する開示事項・重要性事項等に関する素案が先週公表されました。来年1月まで90日間のパブリックコメント期間だそうです。

以下の業界が対象になりますので、日本にも先進的なCSRを進めている企業が多い業界です。米国上場企業だけでなく、開示内容や開示方法を決める際の参考になりそうです。

  • Electronic Manufacturing Services & Original Design Manufacturing (電子機器製造サービス等)
  • Software & IT Services (ソフトウエア・ITサービス)
  • Hardware (ハードウエア)
  • Semiconductors (セミコンダクター)
  • Telecommunications (通信)
  • Internet Media & Services (インターネットメディア)

重要性に関する要約表はこちらに掲載されています。

投資家から見たCSRレポート

GRIの新たなガイドラインG4の発行や、今年末に予定されている統合レポートのガイドラインなどの方向性を受け、CSRレポートの改定や、環境報告書(環境・社会報告書など)の内容や構成の見直しを検討している企業が増えているのではないでしょうか。

企業価値に占める無形資産の割合は、過去30-40年で大きく増え、企業価値の8割が無形資産から評価されるようになってきています。一方、従来型の財務報告では、十分に無形資産が説明・開示されていないため、CSRレポートをはじめとする非財務情報の重要性は増しています。

欧州の投資家からみた非財務報告書の現状や課題、期待するものについてまとめられた報告書が公表されました。投資家に対しても評価されやすいCSRレポートを作成するのに参考になりそうです。

報告書では、現状の非財務報告は不十分であるというメッセージが一貫して示されていますが、そのなかでも非財務報告として「最も参考にするのは、各社のCSRレポート」ということで、統合レポートなどが定着するまで当面は、CSRレポートは重要な情報源であることは間違いなさそうです。

また、本調査によると、欧州委員会が今年4月に発表した非財務報告の義務化法案に記載されている内容に加えて、以下の内容を開示することを期待しているとのことです。
(欧州委員会の非財務報告義務化については、こちらをご参照ください) 続きを読む

不動産の責任投資とESG

週末の日経ヴェリタスに欧米年金基金からの投資マネーを獲得するために、国内のREITや不動産会社でESG評価を受ける会社が増えているという記事がでていました。グローバル不動産サステナビリティ・ベンチマーク(GRESB)2013年は、昨年の24社から30社強に広がる見通しということで、海外での責任投資の動きが国内の不動産市場にも広がりつつあるようです。国土交通省での紹介資料はこちらにあります。

このGRESBの地域別参加会社は欧州が過半を占めているように、2009年から欧州で始まった民間の枠組みのようですが、GRIやCERESなどグローバルな組織や、グリーンビルディングカウンシルなど米国やオーストラリアの組織も参画しています。

2013年の調査内容(Survey)をみると、環境面では、エネルギー利用、水利用、廃棄物、土壌汚染のほか、米国で課題となっているカビ(Mold)などのリスク管理項目や、スマートグリッドの導入割合、サプライヤーや工事請負会社のサステナビリティに関する状況などが調査項目に入っています。エネルギーのパフォーマンス項目だけで18項目あり、全体では20ページのアンケート調査ですので回答そのものもたいへんそうですが、物件毎の個別要素が強い不動産全体の状況が把握できれば、投資や管理する側としても新たな発見や評価軸もでてくるのではないでしょうか。

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インドの会社法改正法案とCSR

今週は国会が閉会し、環境関連では、放射性物質を大気汚染防止法や水質汚濁防止法の規制に含める法案などが成立しました。*環境省関連の法案制定状況はこちらから。

今年は、先月のGRI:G4に加え、統合報告ガイドラインも発行される予定となっており、法律だけでなく様々なCSRのルールが更新される予定となっていますが、アジアではCSRに関する法改正や制度変更の取り組みも活発になっています。

インドでは、昨年制定された上場企業への規制のなかで、上位100社に対して、今年度からCSR報告書の作成を義務付けられるようになっていますが、さらに、会社法を改正して一定規模以上の企業に対してCSRの推進を義務付ける方向性が具体化してきています。

昨年インドの下院を通過して、1956年以来の大きな改正になるといわれているインドの会社法の改正版(The Companies Act 2012)では、一定規模以上のインド国内企業すべてに対し、社内にCSR委員会を設置してCSR方針を制定して開示し、毎年、前年の純利益の2%をCSR方針に沿った環境保全、機会均等、教育などの取り組みに使うことを求めており、その支出の実行ができない場合には理由を開示することとしています。

今年度末頃まで上院を通過して制定する方向という見方もあり、改正法が制定されれば、インドで活動する国内外企業へ一定の影響がでてくるといわれています。法案はこちらの135 Corporate Social Responsiblityの項目などに記載されています。

海外グループ会社がある場合や今後の進出予定、主要なサプライヤーの評価など、関連業務がある方々は当面注視が必要になりそうです。

 

 

 

 

 

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