GRI G4とCSR2.0 とマネジメント2.0

今週、CSR報告書のガイドラインとして世界で最も定着しているGlobal Reporting Initiative (GRI)の最新版:G4が公表される予定となっています。G4では、サプライチェーンの記載や企業の業務に応じたバリューチェーンに沿ったマテリアリティ(重要性)を踏まえた報告を重視する方向のようですが、開示項目が現状から大幅に増え100項目を超えることも予想されており、CSR業界でも様々な意見があるといわれています。

http://www.verdantix.com/blog/index.cfm/post/92

GRIはCSRの情報開示に関するガイドラインですが、企業の社会的責任(CSR)全般について、これまで比較的個別に、また事業に付加的なアプローチがされ、本質的には企業経営において重視されてこなかったという反省や評価も少なくありません。このため、たとえば上記にも紹介されている意見の一つとして、コカコーラ社からは、CSR報告書は、CSRの専門家だけに評価されるものではなく、より広い範囲の関係者・読者に理解してもらうことが重要であるとして、ドラフト段階のG4について、より技術的にまた複雑になっているのではないかという課題も出されています。

http://www.cokecce.com/news-and-events/news/opinion-the-end-of-the-sustainability-report-by-lucinda-hensman-head-of-sustainability-communications-at-coca-cola-enterprises

ローマクラブの「成長の限界」の共著者でもあるノルウェーの研究者がまとめた「2052 今後40年のグローバル予測」では、これまでのCSR1.0の課題を示すとともに、今後のCSRの方向性として9つの考え方をまとめています。たとえば、現在のCSRはチェックリストのようなものだが、今後はより独創的な、またスケールの大きなものになっていくべきという考え方を示しています。

一方、企業経営に関する現在の経営課題をまとめているゲイリー・ハメル「経営は何をすべきか」では、マネジメント2.0に向けた25の課題の最後に、組織の社会的責任の哲学を再構築するうえで他分野の価値を取り入れることの重要性を挙げています。

CSR経営においては「企業経営や事業との一体化」、企業経営の視点からは「社会的な価値や責任を重視する」という方向性が一貫して示されており、双方が一体化する方向に異論はないと思われます。しかしながら、いずれも専門領域が深化するなかで、どのようなステップを踏んでいくかは、むしろ理論やルールではなく、いくつかの企業が個別実践的に事例を示していくほうがわかりやすいのかもしれません。

 

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