国際会計基準と環境債務の動向

国内での国際会計基準の強制適用は当面見送られ、任意適用の範囲を広げる方向という報道があり、金融庁からも任意適用に関する報道情報がだされました。

http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/soukai/20130528.html

数年前の国際会計基準との収斂では、資産除去債務に関する環境関連の費用をどのように認識・計上するか課題もありましたが、すでにルールが定着している米国内では、現在も国際会計基準との関連で、環境関連の費用認識や開示が今後どのように変わるかという議論が継続的にフォローされています。

結論からいうと、米国では当面(今後数年間は)、国際会計基準との関連で、米国内の環境債務の開示などに関する必要事項が変わる可能性は低いとみられているようです。

http://www.americanbar.org/content/dam/aba/publications/nr_newsletters/ed/201212_ed.authcheckdam.pdf

米国会計基準(GAAP)と国際会計基準(IFRS)では、環境債務の認識や測定方法が異なるため、もし国際会計基準に適用することになるとそれなりに大きな影響が出る可能性も指摘されています。

たとえば、米国では、債務の発生確率が70-80%程度の場合、費用を計上するという実務になっていますが、IFRSではそれが50%となり、範囲が広くなる可能性があります。また、債務となる費用の測定において、GAAPでは、他のシナリオの発生確率が高くない場合などに既知の下限値が認められているのに対し、IFRSでは発生する可能性のあるシナリオすべての加重平均をするため、IFRSのほうが負債額が大きくなると考えられています。

米国内ではこの数年は変更の可能性は少ないとはいえ、グローバル展開する企業にとって海外子会社のIFRS対応は留意すべき事項になると思われます。

今後、環境・社会を含めた統合報告など、上場企業を中心に、多方面の情報開示ルールが変化する方向にありますので、会社の方針に沿った整合性のある内容をタイムリーにわかりやすく開示することはますます重要になるでしょう。なかなか大変な作業ですが、部門間にわたる必要な情報を共有し、社内で担当する部門が判断ができる仕組みをつくっておくことが大切になりそうです。

 

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