シェールガス開発と工場(精油所)の再利用

シェールガス開発によって安価に調達できる天然ガスに関連する工場の新設や米国での会社設立のニュースは定期的に報道されていますが、新設だけでなく、かつて使用されていた工場を再利用する、いわゆるブラウンフィールドの再利用のようなケースもあるようです。米国東部ペンシルバニア州フィラデルフィア市にある、いったん閉鎖された(または閉鎖予定だった)精油所がシェールガスに関連する加工・製造業に再利用される事例です。

2012年2月にいったん閉鎖された、米国東部のエネルギー会社SUNOCO社が保有していた全米でも最も古い精油所の一つ(約140年の歴史)を、カーライルグループが約200億円で購入し、天然ガスや関連製品を国内外に供給する施設として再稼働されるようになったとのことです。

http://www.reuters.com/article/2012/07/02/us-sunoco-carlyle-philadelphia-idUSBRE8610JF20120702

すでに、テキサス州Eagle Ford Shaleなどからの原油の加工等に活用されているようですが、今後ペンシルバニア州の東西に延びるパイプラインや高速鉄道をつなげて、Marcellus Shaleからの天然ガスをフィラデルフィア地域に電気やガス、熱を提供するプロジェクトにも拡大していくとのことです。

また、以前ConocoPhillipsが使用していた隣接する精油所は、 続きを読む

“The city as a lab”

昨夜Web上から参加・視聴できるボストンでのグリーンビジネスの会議を聞いていたら、スマート化する都市が、ラボ(計測拠点)としての位置づけになっていくとして、”the City as a Lab”というセッションができていました。パネリストには東部フィラデルフィア市のCIO(Chief Innovation Officer)などが出ていましたが、(行政組織にイノベーション責任者がいるところも面白いですが。。)エネルギーや水など様々な計測に加え、住民参加型の情報をプラットフォーム化していくことで都市が情報をつくっていくというような話をしていました。

そのほか、MITの教授による安価な液体蓄電池開発の話などもあり、それぞれのセッションは短時間でしたがとても興味深いトピックが多数ありました。登録すれば視聴できるようで、今夜(アメリカ東部時間の明朝)もあるようなので、興味のある方は参加・視聴されてはいかがでしょうか。会議のコンセプトは”Tech meets Sustainability”、いいですね。

 

http://www.greenbiz.com/events/verge/2013/05/boston/virtual-program?mkt_tok=3RkMMJWWfF9wsRons6rAZKXonjHpfsX57%2BglUaC%2BlMI%2F0ER3fOvrPUfGjI4AS8VlI%2BSLDwEYGJlv6SgFSLHEMa5qw7gMXRQ%3D

グローバル化するサプライチェーンと環境保険のトレンド

大手保険会社Marshが出した2013年の環境保険のトレンド・TOP10のうち、No1にサプライチェーンの環境事故による操業停止などをカバーする保険に関心が高まっているという記載がありました。先般のバングラディッシュの事故だけでなく、サプライチェーンが世界各地に広がるとともに、環境面も含めた様々なリスクを想定し、事前の予防だけでなく、いざというときの状況に事前に対応するための検討を始めているということでしょう。

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サステナビリティのプロフェッショナル

環境やCSR,サステナビリティに関する業務は増えていますが、実務に役立つ知識を短期間に身につけるプログラムが、アメリカのコロンビア大学でも始まるようです。

http://ce.columbia.edu/sustainability-management

このサステナビリティ・マネジメントに関する修士プログラムでは、大学内の各専門分野を横断的に学べる形のようで、最新動向を踏まえた興味深いコースがたくさんありました。残念ながら現在は、オンラインでの受講は提供されていないそうです。10数年前のペンシルバニア大学もそうでしたが、環境やサステナビリティは、分野横断型の実務が多いので、大学の様々な授業を組み合わせて受講できるプログラムはいいですね。

実務面でのサステナビリティの専門家のグループもLinkedInなどで多数できていますが、欧州ではサステナビリティの専門家のプラットフォームができています。今後も各所で広がりそうな気配です。

http://www.gacso.org/

 

シェールガス開発で恩恵のある業界と環境ビジネス

シェールガス開発によって新たな雇用は2012年までに160万人創出されており、2020年までに300万人の雇用がうまれると予測されていますが、これらの雇用をうみだす産業や経済成長は、天然ガスを産出する州だけでなく、周辺の様々な地域や産業にわたると予測されています。

http://www.ihs.com/info/ecc/a/americas-new-energy-future.aspx

上記IHSのレポートVolume2では、生産している州と生産していない州に分けて、恩恵を受ける業種を整理していますので、米国の該当する州に現地法人のある製造業などを除き、”天然ガスを生産していない州”の業種は、日本からみた現実的なビジネスチャンスとして参考になるかもしれません。

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グローバル化する調達先とCSR調達の課題

バングラデシュの首都ダッカ郊外でおきたビルの倒壊事故は、犠牲者が500人を超えると報道されており、インドのボパールでの事故に次ぐ惨事になる可能性があると伝えられています。ロンドンエコノミスト誌では、バングラデシュの建物基準遵守の手続きとともに、同国の基幹産業である繊維業の顧客であるグローバルなアパレル業界に対して、CSR(企業の社会的責任)の在り方を3つの選択肢を提示して問いただしています。

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シェールガス市場の環境ビジネス

シェールガスに関する環境問題への関心を背景に、シンクタンクやNGOによる環境リスクの研究が盛んですが、昨年頃からビジネス関連レポートも多数発行されており、経済影響をまとめたIHSのレポートのほか、大手コンサルアクセンチュア、KPMGなどから公開レポートもでています。アクセンチュアのレポートは、米国外の世界市場で開発を進めるオペレーター企業名とともに、オペレータ‐向けにポーランドや中国など環境問題をまとめたビジネス仕様の構成になっています。

http://www.accenture.com/SiteCollectionDocuments/PDF/Accenture-Water-And-Shale-Gas-Development.pdf

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米銀の環境デューデリ動向とASTMフェーズ1調査:2013年版へ!?

アメリカでコミュニティバンクと呼ばれる地域密着型の中小銀行でも、融資時の環境リスク方針を整備し、融資の時に環境デューデリを実施する傾向が高まっているということです。

アメリカのSBA(Small Business Administration)でこの3月に公表されたガイダンスSOP(Standard Operating Procedure) 50-57は、初めて単独で環境リスクマネジメントに関する単独の章を設けました。フェーズ1環境調査レポートやフェーズ2調査をどのように活用すべきかなどに加え、ガソリンスタンドやクリーニング用地についても推奨事項を明記しています。

http://www.sba.gov/about-sba-services/7481/441271

今年は、8年ぶりにアメリカ材料検査協会のフェーズ1ガイド(ASTM E1527)が改定される予定とのことです。ASTMはアメリカの環境デューデリ基準ですが、日本国内でもM&Aの時などに環境デューデリとして活用されるケースもあり、またアジアなどでもこれらの基準をベースにしている実務が多くあります。

改訂版では、現状のRECs(Recognized Environmental Conditions)の定義などをより明確にすることなどが議論されているようです。年代に応じて環境リスクの定義も変わってきますので、要チェックですね。

 

 

 

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