米国のクリーンエネルギー:シェールガスで若干Slow Down

最近発行されたいくつかのビジネス誌でも、米国のシェールガス革命によってオバマ政権が進めてきた再生可能エネルギーの推進への影響がでていることが考察されていましたが、オバマ政権の第一期でエネルギー省長官をつとめたSteven Chu氏も、同様のコメントをしています。

Chu元長官は、ノーベル物理学賞を受賞した研究者で、以前に在籍していたスタンフォード大学に戻ったところを、サンフランシスコの地元紙(クロニクル)がインタビューしていました。

インタビューでは、オバマ政権でグリーン・ニューディールとして政府からの多額の融資保証などを受けていた企業が倒産したことなどから財政支援の意義などに紙面の多くが割かれていましたが、今後のアメリカの再生可能エネルギーの動向などについても短いコメントをしていたので紹介します。

  • オバマ政権第一期に実施した再生可能エネルギー推進政策の効果は徐々にあらわれるだろう。今後、家庭の太陽光発電と蓄電により、系統(Grid)を通さない電力が50-80%になることを考えると、電力会社は新たなビジネスモデルを検討しなければならない。
  • シェールガスの拡大に伴い、再生可能エネルギー(グリーンな技術)へのシフトのスピードは少し遅くなるかもしれないが、長期的にはグリーン技術の推進は行われるだろう。

元長官としては政策が果たした一定の役割を強調していましたが、イノベーションの成功と財政面での公的支援は、短期間ではなかなか両立しにくいものなのでしょうか。

とはいえ、シェールガス開発成功の要因の考察をみると、米国ならではの市場環境や民間の役割があったようですが、長期的なイノベーションの開花のプロセスでは、政策支援もあったことがうかがえます。たとえば、70年代の天然ガスに関する優遇税制や80年代のエネルギー省の研究開発による3‐D探索画像技術の開発などは、シェールガス開発を進めたMitchell Energyにもよい影響を与えたといわれています。

成功には様々な人の力とそのタイミングがあるように、長い期間にわたり、官民の役割がタイミングよく、うまく機能したところにイノベーションが開花するのでしょうね。

さてこのシェールガスも大量の水使用や、廃水、地下水などの環境問題が課題になっており