米国環境政策の動き:温暖化とブラウンフィールド

トランプ大統領による大統領令によってアメリカの温暖化政策がどのような方向になるのか、色々なニュースが出ています。

アメリカ国内でも賛否両論あるようですが、もとより共和党政権では、オバマ政権の環境政策のうち、温暖化関連については反対の意向が多かったので、方針通りのものといえるのではないでしょうか。

環境団体や専門家はもともと民主党系が多いため、反対の声が多く聞かれると思いますが、アメリカ石油協会(API)などは今回の大統領令に賛成しています。

大統領令の詳細解説は、あちこちでされていますが、オバマ政権の功績を詳細に紹介していたカリフォルニア大学の教授の評価が体系的に参考になりそうです。

それによると、トランプ大統領は、スピーチなどで温暖化について特にコメントしておらず、EPAの温暖化政策をすべてなくすとは言っていないし、国際協定についても言及していないというものです。

今後、以前の政権のような積極的な温暖化政策をとることは考えにくいと思われますが、大きな流れの中でアメリカのエネルギー・産業政策に優位な政策を模索していると考えられそうです。

ただし、一定の時間をかけて策定されたオバマ政権のクリーン・パワー・プラン(CPP)に代わる政策立案には時間もコストもかかるという指摘はあります。

あらためて振り返っても、もともと米国では温暖化政策について異なった意見があり、CPP自体も州による執行をベースにした制度として策定されました。温暖化・気候変動政策は、時間軸の置き方によってコストと効果が大きく変わってくるので、難しい議論であることがあらためて実感されます。

さて、もう一つの環境政策として全米市長会議が推奨しているブラウンフィールド政策があり、これについては、EPA長官からも重要施策として位置づけられています。ニュージャージー州の市長が米下院の委員会でブラウンフィールドをインフラ政策と連動して推進すべきと証言しているほか、民主党から多目的な補助金を可能にするブラウンフィールド法改正法案も出されています。

ちなみに、この法案を出しているEsty議員は、日本でも和訳が出されている”Green to Gold”の著者で米エール大教授のEsty教授の配偶者とのことです。