各国のプラスチック規制の動きと影響

日常生活でも紙製や生分解プラスチックストローを見る機会が多くなり、7月からはレジ袋の有料化が開始される。

プラスチック製のレジ袋等に対する課金や一部利用を原則禁止とするなどの規制がある国は、昨年時点で120か国以上あり、プラスチック製の使い捨て製品や廃棄物を規制する動きが広がっている。

ストローやレジ袋などの特定の製品だけでなく、様々なプラスチック製品や廃棄物等に対する取組方針を示すのは容易ではないため、自治体レベルでの規制が広がっていたが、徐々に国としての方針が示されるようになってきた。

国全体のプラスチックに対する方針等は、2018年1月にEU委員会が循環型社会におけるプラスチック戦略を発行後、10月にフィンランドがプラスチック・ロードマップを発行している。2019年6月には、欧州での特定プラスチックに関する指令が制定された。カナダでも使い捨てプラスチック製品を2021年に禁止する方針が伝えられ、オーストラリアでは法案が審議されているほか、インドも2022年までに使い捨てプラスチック製品を禁止するという方針を公表している。

アメリカでも法制化する州が増えている。カリフォルニア州、ハワイ州に加え、2019年は、ニューヨーク州、コネティカット州、バーモント州など6州で州全体で使い捨てプラスチック袋を規制する法案が成立したほか、カリフォルニア州ではマイクロ・プラスチックの規制に向けた検討が始まっている。マイクロ・プラスチックの規制は欧州でも提案され、今年方針が出される予定となっている。

こうしたなか2020年1月に中国でプラスチック製品の管理に関する意見書が公表された。今年末までに、使い捨てのプラスチック食品容器や綿棒の生産と販売、マイクロビーズが含まれる製品等の生産を禁止し、2022年までにその販売も禁止される。また、郵便物のテープや星付きのホテルなどにおける使い捨てプラスチック製品の利用を抑制し、プラスチック廃棄物を削減する。こうした取り組みと同時に、代替製品を促進し、2025年までにプラスチック製品の生産、流通、使用、リサイクル、廃棄に関する管理システムを構築する方針だ。

2018年に中国がプラスチック廃棄物の輸入を制限したことにより、世界的にプラスチックのライフサイクルに大きな影響がでた。今回の方針も中国国内だけでなく、世界のプラスチック製品のサプライチェーンやサービス業のマーケティング戦略を含めて影響がありそうだ。

例えば、星付きホテルや高級旅館などは、これまでブランド製品のシャンプーやクリームなどのアメニティを女性客向けのマーケティングにも活用していたが、使い捨てプラスチックごみの削減のため、ポンプ式が増えてきている。欧米ホテルでは、シーツやタオル等のクリーニングを環境配慮を踏まえて抑制するグリーン・プログラムがコスト減にもつながった実績もある。

早期に規制化をする地域は代替製品等の活用にシフトすることになり、技術開発や普及が急速に進むことになる。今年も引き続きプラスチック規制が世界各国で広がり、様々な代替製品やサービスが開発され、普及することになりそうだ。

*本稿は2020年2月19日発行の環境新聞に掲載されました。