海外環境法政策とビジネスの動向

新型コロナウィルス対策等により、環境規制の一部に遅れや調整の動きが出ているが、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)など有機フッ素化合物PFASについては、継続して各地で法制化の動きが続いている。

アメリカ東海岸のニュージャーシー州では、飲用水に関する最大濃度を、PFOA(14ppt), PFOS(13ppt)に設定し、2020年6月1日から施行された。ニューヨーク州では、8月下旬から飲用水についてPFOA (10ppt), PFOS (10ppt)とする基準を施行しており、1,4-ジオキサンについても米国内で初めて飲用水基準(1ppb)を設定した。これらの数値は、アメリカ環境保護庁の暫定基準70ppt(PFOA/PFOSともに)より低い基準となっている。

また、カリフォルニア州では、化粧品に含まれる13種類のPFASを指定し、製造、販売、流通に関して2025年1月1日から禁止する州法を制定すると共に、PFASの含まれる消火剤についても2022年から段階的に禁止する法律を制定した。

米国農務省では、環境保護庁等と連携して、各種食肉に含まれるPFOS等の調査を拡大している。食品医薬品局(Food and Drug Administration, FDA)では、食品パッケージに含まれるPFASの健康影響などの調査を進めており、一部の製造会社と今後数年でPFAS含有の食品パッケージの製造停止することで自主合意したことを発表している。

こうした規制や自主規制の背景には、PFASの健康影響に関する研究結果が増えてきていることもあり、疾病予防管理センター(CDC)と米国毒性物質疾病登録庁(ASTDR)では、PFASに関する健康影響について解説するホームページを公開している。

アメリカでは2019年12月に制定された国家国防授権法2020年の独立したセクションにPFASに関する施策が策定され、飲用水に関するモニタリング義務に加え、有害物質登録簿(TRI)へのPFAS化学物質の追加が規定された。環境保護庁では、この6月に172種類のPFASを正式にTRIに追加し、2020年1月からの適用としている。このため、これらの化学物質を一定以上使用、加工等する企業は、2021年7月のTRI提出時に排出状況等を報告する必要がある。

このように規制が進み、対象物質が規定される一方、PFASは、PFOSやPFOAをはじめとする数千種類の化学物質が含まれることから、対象物質や調査方法の確立・普及も引き続き課題となっている。各省庁や基準設定組織などでは、試験方法の技術ガイドラインなどの策定を進めている。

欧州では、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、デンマークが幅広くPFASの使用や製造を禁止するREACH規制に向けた提案を支持しており、予定通り法制化が進めば、2025年から規制される可能性もある。

*本稿は環境新聞2020年9月16日号に掲載されました。
(環境新聞への掲載記事の一部に単位の誤記があり、上記は訂正して掲載しております。)