アジア各国の土壌汚染規制の動き

日本国内でも一昨年制定された土壌汚染対策法改正が4月から全面的に施行されているが、今年1月から初の国としての法律となる土壌汚染防治法が施行されている中国だけでなく、アジア各国で昨年末から土壌汚染規制に関して動きがでている。

インドネシアでは、2018年12月20日に、有害廃棄物によって汚染された土地等の修復に関するガイドライン(PP101/2018)が公布された。同国では、有害性や毒性等により、有害・危険廃棄物として分類されたものを通称B3廃棄物と呼ぶ。このB3廃棄物によって汚染された土地、すなわち土壌汚染については、2009年に改訂された環境保護管理法においても、法律違反の有無を問わない無過失責任が課されることが示されており、B3廃棄物の管理や手続きについては別途定めることとされていた。

もともと2003年には油汚染に関するガイドライン、2009年には有害廃棄物によって汚染された土地の回復に関する大臣規則などが数ページで公表されていた。また、2014年10月に259条(約150頁)にわたる“B3廃棄物に関する規制(PP101/2014)”及びその付属文書(約80頁)が公表された。そのなかに、B3廃棄物によって汚染された土地の責任や修復に関する手続きが示されていたが、今後詳細規定すると記載されていた土壌汚染の調査や分析、モニタリングの方法などが、今回、より詳細に示され、2009年の規則は廃止された。

また、インドネシアでは昨年の同時期に、排水許可の取得・更新のために、電子統合ビジネス許認可システムを通じて実施することを義務付けている。表層水流、海面、土地等への排水の再利用の許可等を対象とするもので、電子による一元管理により、法執行が厳格になる可能性もある。

インドネシアの土壌汚染管理に関する法体系は、米国の汚染土地浄化責任や手続きと類似しており、特に有害廃棄物の発生事業者に厳格な管理責任が課されている。有害廃棄物の処理等の資格を持たない請負事業者に委託した米系企業への罰則が課された事例なども一時ニュースとなった。委託先管理にも留意が必要となっている。

韓国では、2018年11月下旬に、2001年に制定された土壌環境保全法(2005年、2011年、2015年改正)が再改正され、土壌汚染のある不動産所有者は、汚染原因者と協力して、土壌汚染の浄化措置を実施するか、金銭的な補償をしなければならない規定が追記された。

もともと土壌汚染のある不動産の所有者は、汚染原因者と協力して土壌汚染の浄化を実施することになっていたが、罰金規定はなかったものを罰金規定が追加された。損失補償額は、土地・建物他の工作物の取引価格及び賃料、収益性などを考慮した価格としなければならないとしており、それらの費用を一定の要件のもと、公的費用から支出するための組織等の仕組みも規定された。措置命令に対する期間の延期は2回(最長2年)まで認められ、浄化費用が土地の価格や土地から得られる収益を著しく超える場合等は、公的支援の対象になる。

台湾では、2018年12月25日に土壌及び表層水への排水基準の対象となる有害物質リストが更新され、有機リン類、ウレタン、除草剤が追加された。

タイでは、2019年1月28日にから水資源法が施行された。水資源全般に関して保全と管理を規定したタイで初めての法律で、水の使用及び管理に関して広範に義務を課す法律となっており、許認可も必要になる。

インドでは、2019年1月に国家グリーン裁判所が、州の汚染管理委員会(SPCB)に、汚染物質を排出する企業へ環境汚染の予防と汚染対策に関する執行強化を命じており、今後、汚染者責任原則(Polluter Pays Principle)を基本として執行が厳格化する方向となっている。

土壌汚染についても、アジア各国で法制度の詳細規定が固まりつつある。

*本稿は、2019年5月22日環境新聞に掲載されました。