プラスチック規制③中南米諸国

歴史ある英語辞典の一つであるコリンズ英語辞典では、2018年を代表する用語 (THE COLLINS WORD OF THE YEAR 2018)として“Single-Use (使い捨て)”を選定した。

日本でも省庁の審議会でペットボトル飲料の使用がなくなるなど、ストローやレジ袋だけでなく、国内外でプラスチック製品に関する法規制や自主規制等の動きが急速に広まっている。本稿では、中南米・カリブ海諸国の動きを紹介したい。

南米各国では、都市など自治体レベルで、プラスチック製の使い捨てストロー禁止の動きが進んでいる。

ブラジルのリオデジャネイロ市は、今日の世界的な環境保全のきっかけとなった地球環境サミットが1992年に開催された都市だが、2009年からプラスチック製のレジ袋のリサイクル規制が開始。2018年6月からブラジルの都市として初めて、プラスチック製のストローの使用が禁止され、違反した場合には、罰金6,000レアル(約18万円)が課される。

ペルーの首都リマや、エクアドルのガラパゴス、メキシコの一部の州でもプラスチック製のストローが禁止されるようになっているほか、2019年からペルー全土の自然保護地域等70カ所以上で使い捨てのプラスチック製ストローが禁止されるようになった。マチュピチュなどの世界的に人気のある観光地も含まれており、観光客を含めた取組といえるだろう。

チリでは、南米の国としては初めて、2018年6月に使い捨てプラスチック製レジ袋の使用を禁止した

公的な規制だけでなく、民間企業の動きもある。メキシコでは大手飲料メーカーが、500mlの飲料にプラスチック製のストローを添付することを2019年から廃止した。

一方、代替素材の開発や活用も進んでいる。紙やガラスなどの素材のほか、メキシコで発見されたアボカドの種に含まれるバイオポリマーを活用したストローも開発されている。このアボカドの種からできたストローは、240日で分解されるもので、現在南米10か国以上に広がっているという。

リゾート地としても有名なカリブ海諸国でも、プラスチック廃棄物削減に向けた規制が広がっている。カリブ海諸国には700以上の島々があり、そのなかでも毎日17トンのプラスチックごみが排出され、年々その量は増加している。2019年1月からジャマイカでは、使い捨てプラスチック製のレジ袋とストローの使用を禁止した。豊かな自然環境を保全し、陸上及び海洋生物を保全するための持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)として、プラスチック汚染を削減する取組が進められている。

国連環境計画(UNEP)の報告書によると、2018年12月時点で、世界192か国のうち、少なくとも127か国で、プラスチックレジ袋の製造、配布、使用等の制限、課税等の規制がなされているという。使い捨てプラスチック製品を規制している国は27か国あるが、いずれも完全な禁止ではなく、例外規定がある。またマイクロビーズを禁止している国は8か国あり、北米欧州など先進国が多い。いずれも引き続き、規制や自主規制と共に、代替素材の開発や活用も積極的に進むことが予想される。

*本稿は、2019年3月20日環境新聞に掲載されました。