欧州の非財務報告法案(その2)

先週公開された欧州で提案された非財務報告に関する指令案の追加情報です。法案には、この規制の背景や対象範囲に関する説明、現状の欧州での非財務報告での課題がコンパクトにまとめられています。

法案の背景となる問題意識としては、現状の非財務報告について

1)情報の量 及び 2)情報の質 の両面で十分でないとしています。具体的には、欧州内の大企業約42000社のうち、毎年非財務情報を開示しているのは、2500社程度であり、開示されている情報は、ユーザのニーズを満たしていないとしています。

このため、以下のいずれかの要件を満たす大企業(欧州内で約18000社)を本法案の対象にするとしています。

平均社員数:500名超

総資産:2000万ユーロ超

売上:4000万ユーロ超

この対象となる基準は、会計指針(the Accounting Directives)の基準である社員250名超よりも、大企業を対象にしているのは、非財務情報という特性に配慮しているようです。

なお、法案では、非財務情報に加え、ダイバーシティ(人材の多様性)の情報開示との二本立てになっています。

 

非財務情報を活用した投資が最も活発な欧州でのこの動きは世界にどのように広がるかまだ未知数ですが、いずれ大企業にとっては非財務情報の開示は年次ベースの慣例となる可能性が高いのではないでしょうか。

参考まで)社会的責任投資(SRI)、または責任投資(RI)の動きが世界的に広がっているため、アメリカ、欧州、アジアなどで個別に公表されていた責任投資動向の報告書が、グローバルでとりまとめられるようになり、2012年版として初めてグローバルバージョンのレポートが発行されています。

http://www.gsi-alliance.org/resources/

日本市場は、総額1兆円に満たない小さな割合ですが、Impact Investmentと呼ばれる、社会や環境問題の解決に向けた投資が大部分であるという特徴があると分析されています。

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