バングラデシュの首都ダッカ郊外でおきたビルの倒壊事故は、犠牲者が500人を超えると報道されており、インドのボパールでの事故に次ぐ惨事になる可能性があると伝えられています。ロンドンエコノミスト誌では、バングラデシュの建物基準遵守の手続きとともに、同国の基幹産業である繊維業の顧客であるグローバルなアパレル業界に対して、CSR(企業の社会的責任)の在り方を3つの選択肢を提示して問いただしています。
かつてNIKEなどで児童労働が発覚してから、アパレル業界では調達先である新興国の労働問題や安全衛生、有害物質の削減に取り組んできており、CSR調達、Ethical Sourcingと呼ばれる動きは今も広がっています。労働や有害物質からの安全対策は進展を見せつつも、今回の事故は、建物の構造的な安全基準まで監査が届かなかったことから、いわゆるCSR調達の実践と実態のギャップについて改めて認識するとともに、こうした惨事を繰り返さないようにするための議論が始まっているようです。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323343804578455712913801272.html
Walmartやテスコ、カルフール、Migrosなど欧州の大手小売業でも自社のPB商品のライフサイクルにわたり、様々な法令チェックをするためのリスク管理のための投資をし、改善を続けています。これらの海外大手小売業は、自社PB商品の割合が高く、たとえばスイス最大の小売業であるMigros社は、取扱商品の約90%が自社ブランド(PB)とのことで、これらのライフサイクルにわたる安全性とコンプライアンスには多くの手続きをとっており、この効率化と実効性を高めるため上記3社とグローバルなCSR調達ガイドライン等の枠組みもつくっています。
http://www.walmartstores.com/sites/sustainabilityreport/2007/communityEthical.html
昨日読んだ、本郷先生の「経営ノート2013」にもありましたが、国内流通業はPB割合が相対的に少ないため、今後、粗利確保のためにPB割合が増える可能性を示唆されていますが、PB化に伴い調達の際のCSR面の取り組みも進んでくるのではないかと思われます。調達する側でできることは限られているとはいえ、各国の状況を踏まえた調達基準や監査導入の必要性が高まってくるでしょう。
国際貿易センタ―(ITC)のStandards Mapがまとめた世界の100のエコ/CSR自主基準のうち、日本で活用されているのは3割程度になっているように、世界には多くの基準があります。以下の資料に国別、製品別の活用状況や概要が整理されているので、今後の輸出先や取引する国、または取扱い製品に応じたCSRに関する基準に関する情報整理の参考になりそうです。