シェールガス開発と工場(精油所)の再利用

シェールガス開発によって安価に調達できる天然ガスに関連する工場の新設や米国での会社設立のニュースは定期的に報道されていますが、新設だけでなく、かつて使用されていた工場を再利用する、いわゆるブラウンフィールドの再利用のようなケースもあるようです。米国東部ペンシルバニア州フィラデルフィア市にある、いったん閉鎖された(または閉鎖予定だった)精油所がシェールガスに関連する加工・製造業に再利用される事例です。

2012年2月にいったん閉鎖された、米国東部のエネルギー会社SUNOCO社が保有していた全米でも最も古い精油所の一つ(約140年の歴史)を、カーライルグループが約200億円で購入し、天然ガスや関連製品を国内外に供給する施設として再稼働されるようになったとのことです。

http://www.reuters.com/article/2012/07/02/us-sunoco-carlyle-philadelphia-idUSBRE8610JF20120702

すでに、テキサス州Eagle Ford Shaleなどからの原油の加工等に活用されているようですが、今後ペンシルバニア州の東西に延びるパイプラインや高速鉄道をつなげて、Marcellus Shaleからの天然ガスをフィラデルフィア地域に電気やガス、熱を提供するプロジェクトにも拡大していくとのことです。

また、以前ConocoPhillipsが使用していた隣接する精油所は、デルタ航空の関連会社が購入し、シェールガスからの安価なジェットエネルギーを製造することにより年間約300億円を削減する予定とされています。

http://articles.philly.com/2013-01-02/business/36095836_1_contact-mike-armstrong-phillyinc-business-stories

かつて工業地帯だったフィラデルフィア一帯には、中心部から車で少し離れると荒廃した工場や工場跡地が点在していました。これまでこうした工場跡地の活用は、ショッピングセンターやホテル・コンドミニアム、観光関連、IT系のオフィスなどが主流でした。しかし今回のケースのように精油所などの施設が、シェールガス産業により、あらたに再稼働したり、再利用する担い手になってといるというのは、やはりアメリカで新たな市場がでてきているという変化なのでしょう。

 

 

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