アメリカ:環境データの電子化の動向:推奨から義務化へ

アメリカでは、すでにいくつかの省庁や州で環境データの提出について電子納品が義務化されていますが、昨年環境保護庁(EPA)から提案されている有害物質管理法(Toxic Substance Control Act, TSCA)のもとでの化学物質データの電子納品の義務化が一つの大きな流れとして取り上げられています。TSCAは製造や輸出する製品に含まれる化学物質が対象となるため関連する企業は少なくないと思われます。

http://www.epa.gov/oppt/chemtest/ereporting/

数年前から大気浄化法(CAA)の一部で電子納品が義務化されているほか、カリフォルニア州やニュージャージー州などでは一部のプログラムで法令上義務付けられているデータの一部で電子納品が義務付けられていますが、EPAでは今後新たに制定される法律についてはすべて電子納品を義務化することも検討しているようです。

この背景として、オバマ大統領の2011年1月の大統領令13563号に基づき、EPAが同年8月にまとめた以下、規制改善計画があります。

ここでとりあげられた今後の改善テーマ35のうち、第一項目として”電子報告(Electronic Reporting)”が挙げられており、情報通信技術が飛躍的に進んだ21世紀にふさわしい法制度体系にするとして、”電子納品”、”透明性の改善”、”革新的な法令順守のアプローチ”、”システムとしてのアプローチと全体的な問題解決”の4つの大きな方向性のもとで規制改善を進めるとしています。

EPAでは、現状でも大部分が紙による報告になっていますが、内国歳入庁(IRS)の成功を参考に、紙から電子へという流れを進める予定として、上述TSCAのほか、いくつかの法令の報告電子化について記載しています。たとえば操業中の施設が対象となる資源保護回復法(RCRA)のもと、産業廃棄物を排出する工場や施設などに個別IDを付与して、IDによって識別できる仕組みも検討するようです。

http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/other/2011-regulatory-action-plans/environmentalprotectionagencyregulatoryreformplanaugust2011.pdf

これらの規制改革の全体的なレビューは2016年に行うとのことですが、アメリカ企業との取引や現地法人のある企業を含め、環境データの管理に大きな変化が出てくるものになるかもしれません。

 

コメントを残す