各地の新たな動き:アメリカの水保全規制案と企業のグリーン債券発行

先週は、公益事業学会のガス制度研究会シンポジウムでシェールガスの環境問題について短時間のご紹介をさせて頂きました。アメリカでは、その後、水関連の新しい規制案が提出されています。

これまで水質浄化法(Clean Water Act)で定義があいまいであった湿地等の水域を保全する法律のようです。環境保護庁(EPA)と陸軍工兵司令部(US Army Corps of Engineers)が共同して行い、農務省(USDA)とも共同プログラムを実施するということです。陸軍工兵司令部が関連しているのは、日本からみると不思議な気がしますが、ダムなどの土木工事を管轄することから、湿地帯の監督権限をもっているためです。水質管理の枠組みを明確にするもので、賛成も多いようですが、各所にどのような影響があるのか、今後確認してみたいと思います。

またイギリスでは、ユニリーバ社が2.5億ポンドのグリーン債券を発行したというニュースがありました。
温室効果ガス、水、廃棄物に関して以下のような環境目標を達成することを基準に2018年までの期間の社債として発行するもののようです。
CO2(温室効果ガス)・新設工場:50%削減、既存工場:30%削減(再生可能エネルギーの利用)
水使用・・・・・・・・・新設工場:50%削減、既存工場:30%削減
廃棄物発生・・・・・・・新設工場:50%削減、既存工場:30%削減、有害廃棄物の最終処理ゼロ。

かなり大胆な目標ですが、グリーン債券原則にもとづき策定した同社のグリーン債券枠組みに沿い、外部の大手コンサル会社がパフォーマンス確認を行っていくとのことで、企業が環境対策目標を設定し、外部から資金を調達して環境対策を実施するという動きが欧州等で徐々に本格化してきているようです。日本の証券会社もグリーン債券原則に参画しているようですので、是非活用が始まるとよいですね。

米国住宅金融抵当公庫の環境デューデリ要件が変更

米国の連邦住宅金融抵当公庫:Freddie Macの集合住宅の環境デュー・デリジェンスと建物状況調査(PCA)の必要事項が2014年1月に変更され、法令順守の状況について追記されました。ゾーニング、土地利用、住宅バリアフリー、健康安全、消防、エネルギー関連について、連邦法、州法、地域の条例等の違反事項があれば指摘することが求められています。 続きを読む

金融庁が『日本版スチュワードシップコード』公表

2月26日に金融庁から機関投資家に対する『日本版スチュワードシップ・コード」が公表されました。
資産運用にあたって企業の持続的な成長を支える「責任ある機関投資家」の諸原則の一つという位置づけです。

内容は、「原則主義」「遵守または実施しない場合は理由の説明(Comply or Explain)」という形をとっており、全体的に基本方針が示されています。環境やCSRに関連する内容は、原則3に示されており、「機関投資家は、企業の持続成長に向けて、企業の社会・環境面の状況を的確に把握すべき」としており、リスク情報という観点で示されています。

昨日の日経ベリタスには、日本の株式保有の3割が外国投資家になっており、本コードに関連して、日本企業の外国投資家への姿勢が変わってきたという記事がでていました。環境、社会、ガバナンスに配慮するESG投資(SRI)の規模は、米国や欧州では日本のSRIの100倍以上になっています。国内外の機関投資家からの環境や社会面の評価が投資に反映されるようになれば、情報開示の経済的な意味合いも深まってくるでしょう。

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