1月のFINEV座談会

1月のFINEV座談会テーマは以下を予定しています。

【テーマ】

シンガポールの環境政策とグリーン戦略について

“クオリティ国家シンガポールに学ぶところは何か”

・自由化後の電力市場とプレイヤー

・スマートシティ・工業団地建設を進めるグローバル企業

・シンガポール証券取引所のサステナブル戦略

・グリーンビルディング戦略と人材育成戦略

 

ご参加希望の方はこちらからご連絡ください。詳細をご案内申し上げます。

欧州議会で非財務情報の開示義務法案が承認

昨日の欧州議会で、環境・社会・労働側面やガバナンスなどの企業の非財務情報の開示を義務付ける提案が承認されました。

従業員500名以上の大企業や上場企業に、情報開示の拡充を義務付ける方向で、今後、国際的な指標などを踏まえて、開示拡充に向けたガイドラインなどが策定されるようです。さらに2018年以降は、大企業の国別の税額・利益・補助金などの開示を義務付けるかどうかも検討することが追記されています。

企業経営の大きな方向性ではありますが、企業にとっては、これまでと違う種類の情報を開示することになりますので、大変な時代になりつつあります。

法案内容については、4月に掲載したブログもご参照ください。

 

持続可能性報告と財務報告の一体化に向けて

サステナビリティ報告、CSR報告書と財務報告の一体化となる統合報告に向けた動きは国内でも進んでいますが、先週、欧州で財務責任者(CFO)が持続可能性に向けて議論するCFO(財務責任者)の会が発足しました。

イギリスのチャールズ皇太子のもとで、大手企業10数社のCFOが集まり、今後、環境や社会面の課題解決やビジネスをどのように企業戦略や財務報告に結びつけるかという議論を進め、統合報告や自然資本に関する具体的なガイドラインの作成などに取り組むとのことです。

今後1年での実施事項は以下の通りとなっています。

  • 資本的支出の評価に持続可能性の視点を入れるなど、意思決定の透明化に向けたガイドラインの作成
  • 自然資本、社会資本の評価や計測の方法の開発に向けた貢献
  • 持続可能なビジネスモデルに関する投資家の関わりの改善

統合報告や自然資本の動きも踏まえてか、または政策的な影響の大きい公益事業のためか、水やユーティリティ、不動産関連などインフラ系企業が多い印象です。メンバーにはイギリス企業だけでなく、フランスのダノンやアメリカのWalmart等も含まれています。

日本では、環境報告→CSR報告→統合報告と徐々に移行している企業が多いなか、現状では、CSR報告書を複数部署で作成している企業が多いと思われます。財務責任者がCSRや環境・社会面の開示について考える会というのは、まだあまり聞いたことがありません。

少し先のことのように思われますが、CSR報告と財務報告が本当の意味で統合するためには、やはり財務責任者の見方は非常に重要で、それによって初めて本当の意味の持続可能なビジネスになるのでしょう。イギリスではこの動きに本格的に取り組んでいるという見方ができそうです。

 

シェールガス開発に対する環境リスクへの理解と懸念

アメリカのいくつかの地域で、シェールガスに関する反対運動が行われていますが、ワシントンDCのシンクタンク(RFF)がテキサス州とペンシルバニア州の住民や環境NGOに対してアンケート調査をした内容がニュースで発表されています。

この2つの州はいずれもシェールガス産出で経済的にも大きな効果を受けている州ですので、他州との相違はあるかもしれませんが、以下のような内容が伝えられています。

・両州は、基本的にシェールガス開発については前向きである。

・ただ、地下水や表層水、生態系や大気汚染等の影響があることは懸念しており、シェールガスの開発や産出を続ける事業者が、サステナブルな開発を続けてくれることを望んでいる。

・シェールガス開発の環境リスクについてよく理解している住民や環境NGOは必ずしも多くない。40%位の人数は、環境リスクについてよく理解することで、意見が変わる。

・現在、シェールガスへの反対運動が増えているのは、住民の事業者に対する信頼が低いため。事業者としてリスク管理をすることに加え、信頼回復が重要。

その他、細かな内容の中にも興味深い説明がありました。先般のブログでも紹介したコロラドでの反対運動が、どのくらいまで広がるかはわからないが、全米に広がる可能性は少ないのではないかということでした。引き続き、いろいろな変化がありそうです。

環境・サステナビリティに関する実務教育

先週の座談会では、4時間余りにわたって国内外にわたる環境や持続可能性に関する楽しい議論をさせて頂きました。第一線で活躍されている、違った専門分野の方と同じテーマについて議論するのはとても勉強になります。

環境分野のソリューションは、各地域の自然環境や国の歴史文化、ビジネス慣行など、様々な要素を踏まえて成熟していっています。そのため、各国や各地域での違いもあります。そうした違いを知ることで、新たなビジネスのヒントや、現状のアップデートにつながるものもでてくるかもしれません。

今は環境関連の業務の大部分は、実務を通じて習得するOJTがほとんどですが、環境ビジネスに直接役立つ知識や知見を短期間に修得できる大学や実務教育の場が日本にもっとできてもよいのではないかというご意見もありました。

ちょうど、一昨日、米投資銀行モルガンスタンレーがInstitute for Sustainable Investment (持続可能な投資に関する研究機構)を設立したという発表がありました。 続きを読む

自然資本の政策への組み入れを承認したイギリス議会

先週、イギリス議会は、自然資本(Natural Capital)を今後、国の政策や会計等に組み入れる方向を固めたようです。議会の議論については公開されています。

自然資本は、水や土壌、エネルギーなどの自然資源の価値を評価し、それらを保全しながら、経済社会の中で持続的に活用していくことを目指しています。そのために、まず自然資本の実態をきちんと把握し、評価する枠組みを確立することが提唱されています。こうした取り組みを支持する世界の約50の金融機関が自然資本宣言(Natural Capital Declaration)を採択しており、日本では三井住友信託銀行が参加しています。

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バングラディッシュとインドの衣料品工場に関するレポート

今年初めに大惨事があったバングラディシュについて、”従業員の仕事の視点と企業の生産性”の観点からまとめられた報告書が公表されました。インドとバングラディシュの繊維工場を対象にした労働環境と生産性向上に向けた研修プログラムの前後の成果に関する調査結果で、わかりやすい指標をベースに定量的なデータも掲載されています。

ここでは調査結果を分析するために、以下の指標を活用しています。

経営の指標;効率性、出荷率、社員の欠勤率

従業員の指標;手取り給与、時給、退職率

よい経営の指標と、従業員にとって良い仕事の指標は、必ずしも一致しない場合もありますが、以下の研修プログラムを実施した結果、バングラディシュとインドの双方で、生産性が向上し、退職率は大きく減少した結果となっています。

研修プログラムは、以下の4つのほか各種コミュニケーション、意識改革などが含まれているようです。

①人事

②生産:生産効率の向上

③品質

④防災

報告書では、”よい会社は、従業員に対してよい仕事を提供する”というメッセージが様々な側面から出ています。日本ではこれまでCSRの中でも、外部に発信する情報では環境面に重みが置かれていました。環境経営の動きが始められてから20年超となり、グローバル企業では環境経営は、業種や規模、経営方針などで多少の差はあっても、ほとんど当たり前のアジェンダとして定着してきています。

日本企業のグローバル化が加速している昨今、価値観の異なる文化圏のなかで、従業員とよい関係を築いていくことはますます重要になり、CSRの情報発信も少しずつ社会面にシフトしてくるのではないかと思われます。上記報告書は、シンプルな指標を活用していますが、とてもわかりやすい内容になっています。数値、コメント、文章など興味深い内容で、デザインもとても読みやすいので、ちらっといくつかのコメントを見るだけでも参考になります。

SASB 技術・通信セクター素案公表

アメリカのSASB (Sustainable Accounting Standard Board)から技術・通信セクターのサステナビリティに関する開示事項・重要性事項等に関する素案が先週公表されました。来年1月まで90日間のパブリックコメント期間だそうです。

以下の業界が対象になりますので、日本にも先進的なCSRを進めている企業が多い業界です。米国上場企業だけでなく、開示内容や開示方法を決める際の参考になりそうです。

  • Electronic Manufacturing Services & Original Design Manufacturing (電子機器製造サービス等)
  • Software & IT Services (ソフトウエア・ITサービス)
  • Hardware (ハードウエア)
  • Semiconductors (セミコンダクター)
  • Telecommunications (通信)
  • Internet Media & Services (インターネットメディア)

重要性に関する要約表はこちらに掲載されています。

セミナーの御礼と今後の座談会について

昨日はSGSジャパン様と共同開催させていただいた海外環境デューデリジェンスセミナーにて多方面の皆様にお世話になり、ありがとうございました。第一部では藤井先生にたいへん貴重なご講演を頂き、国内環境デューデリジェンスのきっかけについて改めて勉強させて頂きました。また、第二部では、ロンドンオリンピック2012をベースにご参加の皆様の専門分野のもとで大変楽しく、かつレベルの高い意見交換をさせて頂きました。

ご参加いただきました方には重ねて心より御礼申し上げます。

ご専門が少しずつ違う皆様とお話しさせて頂くことで、いろいろなアイディアや既成概念にとらわれないお話が生まれることはとても素晴らしいことだと実感致しました。

引き続き、FINEVではこうした座談会を不定期または定期的に開催させて頂くことを検討したいと思っております。ご案内をご希望の方は、こちらからご登録頂ければ幸いです。

テーマとしては・・・

・海外でのオリンピック関連の環境・サステナビリティ

・海外・国内環境法制度

・海外・国内の環境・CSR関連の会計制度・財務報告

・海外・国内不動産関連

・海外・国内CSR/SRI/環境金融/環境保険等

・海外・国内の環境/CSR に関するITソフト

・シェールガス・オイルに関する動向(環境規制、不動産その他)

などを検討中です。ご登録の際に、ご関心のテーマがありましたら併せてお知らせください。
御礼に重ねて、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

 

≪環境デューデリジェンスセミナー≫のお知らせ

≪セミナーのアジェンダを更新しました≫

アジア各国ではこの数年土壌汚染関連の法制化が続いており、欧州や北米でも土壌汚染に関する法制度や実務は頻繁に改正が行われています。土壌汚染の法規制は、日本国内の規制と海外の法規制は大きくルールが異なっており、施設の占有者に対して調査や浄化責任が課されるケースや、それが遡及的に無過失、連帯責任となる場合もあります。このため、海外進出の際には、土壌汚染調査を含む環境デューデリジェンスを実施することがリスク管理上も不可欠になっています。

本セミナーでは、環境デューデリジェンスに関する主要な課題である土壌汚染の海外の法制度概要をご紹介し、どのような調査を実施し、その結果からどのように判断したらよいのかをご紹介します。

また事例では、土壌・地下水汚染だけでなく、廃棄物、大気汚染関連の規制を含めたコンプライアンス調査の留意点や確認事項をご紹介します。

 

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日  時:2013年9月26日(木)   14時00分~16時30分 (17時から第二部)

概  要:予定しているアジェンダは以下の通りです。

 

14:00-14:15    基調講演・・・・・上智大学大学院 地球環境学研究科 藤井良広教授

14:20-15:00  海外環境リスク関連法令の最新動向・・・・・㈱FINEV 光成美紀

日本、米国、欧州、東南アジア他の規制動向と日本との相違を解説。

ASTMフェーズⅠ調査改訂(2013)の動向やリスク管理の進め方をご紹介。

15:15-16:15  海外環境デューデリジェンス実施事例と体制について
                    ・・・・SGSジャパン㈱ 西利道、㈱FINEV 光成美紀

事例:産業施設のフェーズⅠ及びⅡ調査及びコンプライアンス調査のご紹介。

16:15-16:45  質疑応答

17:00-19:00  第二部:

        “ロンドンオリンピックの環境対策とグリーン/サステナブルなオリンピック”

 

場  所:株式会社FINEV(ファインブ) (会議室)

定  員:50名 参加者の方には“海外環境デュー・デリジェンスガイド(小冊子)”進呈

参加料:無 料(事前登録制)

*申込多数の場合には、次回以降のご案内をさせて頂くことがございます。

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