環境計量分析データ(EDD)の利活用

環境計量分析データの電子利用について検討している日本版EDD研究会の第2回会合を先週開催し、海外の官民組織での先進事例を紹介させて頂きました。会員企業の方々からも建設的なご意見を頂き、その後の懇親会でもより具体的な意見交換をさせて頂きました。

環境計量分析データの電子利用については、本研究会の会員企業の方々だけでなく、大学の先生方からもご賛同を頂いています。大量のデータ分析の時間が短縮することによって、対策を早期に進めることができることや、複数分野の分析を統合的に進めることによる総合的なリスク管理の推進など、様々な可能性があるとのことです。

実際にアメリカでは、事故時の大気汚染や飲用水に異物が混入された時などの緊急時用データ分析にも活用される体制が整えられています。

来月開催される以下のシンポジウムで、関連内容を紹介させていただく予定です。

自然由来重金属類評価研究会(WHM)シンポジウム≫(5月24日:富山大学)

講演タイトル(仮)「環境計量分析における電子納品システムの運用と国際動向」

 

 

シェールガスの自主情報開示に関する議論

シェールガス開発で課題となっている、使用する化学物質に関する自主的な情報開示プログラムに対して、先週ハーバード大学ロースクールから報告書が公表され、その位置づけ是非について議論されています。

すでに様々な報道や報告があるように、シェールガス開発の際には、大量に使用する水に微量の化学物質を添加していますが、これらの化学物質が地下水や廃棄物を通じて水質汚染などを引き起こすのではないかという懸念がでています。議会や環境NGO等からの要請を受け、地下水保全カウンシル(Ground Water Protection Council)と米州石油ガス協定委員会(Interstae Oil and Gas Compact Commission)が、2011年4月に化学物質の自主開示情報を登録するFracFocusというWebサイトを開設しました。

http://fracfocus.org/

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社会資本(インフラ)のグリーン格付け

米国で始められているインフラ(土木系構造物)のグリーン格付け”ENVISION”は、5つの分類(地域社会・生活の質的向上、リーダーシップ、再生可能資源の活用、自然との共生、気候変動とさまざまな時間軸でのリスク対応)に基づく60項目の評価に加えて、イノベーションポイントとして、ボーナスポイントが付与される仕組みになっているようです。*5分類は説明内容をもとに意訳しているので、原文をご参照ください。

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欧州の非財務報告法案(その2)

先週公開された欧州で提案された非財務報告に関する指令案の追加情報です。法案には、この規制の背景や対象範囲に関する説明、現状の欧州での非財務報告での課題がコンパクトにまとめられています。

法案の背景となる問題意識としては、現状の非財務報告について

1)情報の量 及び 2)情報の質 の両面で十分でないとしています。具体的には、欧州内の大企業約42000社のうち、毎年非財務情報を開示しているのは、2500社程度であり、開示されている情報は、ユーザのニーズを満たしていないとしています。

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欧州の非財務報告の法案と統合報告案

 

今週は大きな動きがありました。4月16日に欧州委員会が、大企業の非財務報告の開示に関する法案(指令案:Directive)を提出しました。従業員500名以上の大企業を対象に、年次報告に重要な社会、環境、人権等のリスク情報や方針の開示を義務付けるというものです。

http://europa.eu/rapid/press-release_IP-13-330_en.htm

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中国で環境汚染賠償保険が義務化の動き

2013年1月、中国環境保護部と保険監督管理委員会(CIRC)が共同で”義務化する汚染賠償保険のパイロットプロジェクトに関するガイドライン”を公表し、環境保険の普及を進めるという方針を示しています。

パイロットプロジェクトの対象となるのは、重金属や石油化学など環境リスクの高い企業とし、今後、建設プロジェクトに必要な環境影響評価や、環境関連の監査、認証などの行政手続きにおいて必要となるとのことです。現在はまだガイドラインの段階ですが、対象企業は2000社、保険対象額は約3000億円にのぼるとされています。

http://english.mep.gov.cn/News_service/news_release/201302/t20130227_248567.htm

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アジアの環境ビジネス情報

アメリカや欧州には環境ビジネス全般のマーケット情報を提供するEnvironmental Business International Inc. やENDS Europe (Environmental Data Services)などがあり、それぞれ従来型の環境問題から発生する環境ビジネスをベースに、CO2削減・管理・省エネなどに関するビジネス情報を提供しています。

これらの調査レポートやデータに、公的情報や業界団体、他の専門調査会社や業界別の専門誌、専門家などの情報を組み合わせると、基本的なマーケット情報をつかめることが多いものですが、アジアなどの新興地域では、環境ビジネスに関するこうした専門情報源が少なく、比較的公開情報が多いシンガポールや香港などを除いてなかなか情報が収集しにくいと思います。

昨年からマレーシアの会社が環境ビジネスに関する情報サイトを運営し、前年から発行しているという月刊誌も電子版のみになりました。日本の大手企業の情報も数多く掲載しているのでご存知の方も多いかもしれませんが、もともとシンガポールとマレーシアの情報を取り扱っていたメディア企業ということで、東南アジアの情報は特に充実しているようです。アジアの環境ビジネスに関する動きやイベントを探すのに参考になりそうです。

http://www.greenprospectsasia.com/

シェールガスの環境規制

今日は米国でシェールガス開発会社が破たんするというニュースがありましたが、生産量が増加し、価格が下落していることが大きな要因であるといわれています。

天然ガスの価格(米国)は、以下のサイトでトレンドを調べることができます。

http://www.eia.gov/dnav/ng/ng_pri_sum_dcu_nus_a.htm

 

日本企業でもシェールガスに関するニュースが増えていますが、FINEVでは、シェールガスの環境関連の規制情報の提供を始めることにしました。情報源も掲載してありますので、ご関心のある方はログインしてください。

 

 

RI Asia 2013

アジア責任投資の動向について

先週シンガポールで開催されたアジアの責任投資に関するカンファレンスでは、興味深い内容が発表されました。シンガポールは、一昨年SGX(シンガポール証券取引所)が上場会社向けにESG(環境・社会・ガバナンス)に関する情報開示のガイドライン(以下)を公表していますが、開示前後に企業の開示状況に大きな変化がないとのことでした。

http://rulebook.sgx.com/net_file_store/new_rulebooks/s/g/SGX_Sustainability_Reporting_Guide_and_Policy_Statement_2011.pdf

一方、世界全体では、従来の年金基金だけでなく、プライベートエクイティや非営利団体などの資産運用でもESGを配慮した責任投資への関心が高まっているとのことで、2012年からグローバルな社会的責任投資に関するレポートも発行されるようになっています。http://www.gsi-alliance.org/resources/

 

アジアの責任投資の動向は、4月に環境新聞さんに概要を寄稿させていただく予定です。

関連レポート

アジアのCSRと環境金融の動き