アメリカ:環境データの電子化の動向:推奨から義務化へ

アメリカでは、すでにいくつかの省庁や州で環境データの提出について電子納品が義務化されていますが、昨年環境保護庁(EPA)から提案されている有害物質管理法(Toxic Substance Control Act, TSCA)のもとでの化学物質データの電子納品の義務化が一つの大きな流れとして取り上げられています。TSCAは製造や輸出する製品に含まれる化学物質が対象となるため関連する企業は少なくないと思われます。

http://www.epa.gov/oppt/chemtest/ereporting/

数年前から大気浄化法(CAA)の一部で電子納品が義務化されているほか、カリフォルニア州やニュージャージー州などでは一部のプログラムで法令上義務付けられているデータの一部で電子納品が義務付けられていますが、EPAでは今後新たに制定される法律についてはすべて電子納品を義務化することも検討しているようです。

この背景として、オバマ大統領の2011年1月の大統領令13563号に基づき、EPAが同年8月にまとめた以下、規制改善計画があります。 続きを読む

シェールガス開発と工場(精油所)の再利用

シェールガス開発によって安価に調達できる天然ガスに関連する工場の新設や米国での会社設立のニュースは定期的に報道されていますが、新設だけでなく、かつて使用されていた工場を再利用する、いわゆるブラウンフィールドの再利用のようなケースもあるようです。米国東部ペンシルバニア州フィラデルフィア市にある、いったん閉鎖された(または閉鎖予定だった)精油所がシェールガスに関連する加工・製造業に再利用される事例です。

2012年2月にいったん閉鎖された、米国東部のエネルギー会社SUNOCO社が保有していた全米でも最も古い精油所の一つ(約140年の歴史)を、カーライルグループが約200億円で購入し、天然ガスや関連製品を国内外に供給する施設として再稼働されるようになったとのことです。

http://www.reuters.com/article/2012/07/02/us-sunoco-carlyle-philadelphia-idUSBRE8610JF20120702

すでに、テキサス州Eagle Ford Shaleなどからの原油の加工等に活用されているようですが、今後ペンシルバニア州の東西に延びるパイプラインや高速鉄道をつなげて、Marcellus Shaleからの天然ガスをフィラデルフィア地域に電気やガス、熱を提供するプロジェクトにも拡大していくとのことです。

また、以前ConocoPhillipsが使用していた隣接する精油所は、 続きを読む

グローバル化するサプライチェーンと環境保険のトレンド

大手保険会社Marshが出した2013年の環境保険のトレンド・TOP10のうち、No1にサプライチェーンの環境事故による操業停止などをカバーする保険に関心が高まっているという記載がありました。先般のバングラディッシュの事故だけでなく、サプライチェーンが世界各地に広がるとともに、環境面も含めた様々なリスクを想定し、事前の予防だけでなく、いざというときの状況に事前に対応するための検討を始めているということでしょう。

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米銀の環境デューデリ動向とASTMフェーズ1調査:2013年版へ!?

アメリカでコミュニティバンクと呼ばれる地域密着型の中小銀行でも、融資時の環境リスク方針を整備し、融資の時に環境デューデリを実施する傾向が高まっているということです。

アメリカのSBA(Small Business Administration)でこの3月に公表されたガイダンスSOP(Standard Operating Procedure) 50-57は、初めて単独で環境リスクマネジメントに関する単独の章を設けました。フェーズ1環境調査レポートやフェーズ2調査をどのように活用すべきかなどに加え、ガソリンスタンドやクリーニング用地についても推奨事項を明記しています。

http://www.sba.gov/about-sba-services/7481/441271

今年は、8年ぶりにアメリカ材料検査協会のフェーズ1ガイド(ASTM E1527)が改定される予定とのことです。ASTMはアメリカの環境デューデリ基準ですが、日本国内でもM&Aの時などに環境デューデリとして活用されるケースもあり、またアジアなどでもこれらの基準をベースにしている実務が多くあります。

改訂版では、現状のRECs(Recognized Environmental Conditions)の定義などをより明確にすることなどが議論されているようです。年代に応じて環境リスクの定義も変わってきますので、要チェックですね。

 

 

 

中国で環境汚染賠償保険が義務化の動き

2013年1月、中国環境保護部と保険監督管理委員会(CIRC)が共同で”義務化する汚染賠償保険のパイロットプロジェクトに関するガイドライン”を公表し、環境保険の普及を進めるという方針を示しています。

パイロットプロジェクトの対象となるのは、重金属や石油化学など環境リスクの高い企業とし、今後、建設プロジェクトに必要な環境影響評価や、環境関連の監査、認証などの行政手続きにおいて必要となるとのことです。現在はまだガイドラインの段階ですが、対象企業は2000社、保険対象額は約3000億円にのぼるとされています。

http://english.mep.gov.cn/News_service/news_release/201302/t20130227_248567.htm

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